IT用語を例にして極東に目を向ける(定期更新:9)
明治時代に西欧から入ってきた諸科学用語には、明確に対応する言葉が日本語にはなかった。そこで当時の学者たちは、工夫を凝らして数多くの新たな言葉を造った。経済、文化、科学、哲学、思想…今でも一般に使われている言葉の多くがこのとき生まれた。
しかし現在、この努力が蔑ろにされ謎カタカナ語が溢れている。キャリアデザイン、アジェンダ、ステークホルダー、イニシアティブ、アルゴリズム…
これらのカタカナ語の弱点は、一目見ただけではその言葉の示す物事が簡単に想像できないことにある。私は一部のIT用語を覚える際にこの壁にぶつかった。
また、中には英単語をそのままカタカナに"ひらいた"だけのものがあり、英語学習者に利があるように見えるが実際そうでもない。というのも、原義が薄れ最早日本語化してしまったものもあるからである。私のビジネス用語嫌いは、この「英単語とカタカナ英語とで意味がビミョーに違う」というところが原因である。
いま、ここでIT用語の英語・カタカナ語を廃絶することを提案する。以下に示すのは、未完ではあるが、私が情報について学んだときに知った用語をなるべく語義を残して和訳したものである。一部に煩雑なものがあるが、LANやWANなどは日本語にすると一気に意味が分かりやすくなる。
POS: Point Of Sale = 販売時点情報管理
SNS: Social Networking Services = 社会的情報網構築機能
UPS: Uninterruptible Power Supply = 無停電電源装置
HDD: Hard Disk Drive = 外設磁気情報保存装置
SSD: Solid State Drive = 外設半導体情報保存装置
CPU: Central Processing Unit = 中央処理装置
MPU: Micro Processing Unit = 超小型処理装置
DRAM: Dynamic Random Access Memory = 任意情報記憶半導体素子
SDRAM: Synchronous DRAM = 同期式任意情報記憶半導体素子
GPU: Graphics Processing Unit = 画像処理装置
HDMI: High-Definition Multimedia Interface = 高精細度多媒体接合面
デコード decode = 復号
データレジスタ data register = 情報格納器
レジスタファイル register file = 中央集積情報格納器
OS: Operating System = 管理器構
アルゴリズム algorithm = 算法,演算処理
プログラミング program = 電子算法設計
プロトコル protocol = 通信規約
LAN: Local Area Network = 狭域情報通信網
WAN: Wide Area Network = 広域情報通信網
TCP: Transmission Control Protocol = 送信制御
以上に示したように、日本人は漢字と日本語をもっと使って発展していくべきである。日本語が持つ外来語を取り込んで容易に自国語にしてしまう特性は、日本人の宗教多様性・非排他性に反映されている通り素晴らしいものである。しかし、そのせいで自縄自縛になるのはまっぴらゴメンである。日本がITやデジタルの分野で他先進国に後れを取っているのはこれが主な原因にあるのではないか。非英語話者老人の頭にカタカナ語はキツイだろう。
明治の先人の知恵と努力を見倣って、盤石な知的土台を我々の世代から造っていくべきである。
余談であるが、中國の正式名称:中華人民共和國 には「人民」と「共和國」という和製漢語が含まれている。明治時代の先人の努力が国を超えて評価された証である。ここで主張したいのは、日本が中国より上回っているとかTwitter癈人みたいな論旨ではない。第一、中国で漢字が誕生しなければ和製漢語は生まれ得ない。
今のところあり得ないが、EUやASEANのような共同体がモンゴル・中国・北朝鮮・韓国・日本などの東アジア諸国で発足したら夢がいっぱいだ。どの欧米諸国にも負けない最強のコミュニティが完成してしまう。尤も、アメリカがそれを宥すはずもないが。
Phylmer.M
引用・参考
〇IT用語を学ぶのに中国語って便利なんじゃね?
〇名クオラーのペトロスキー氏の日本語の外来語についての回答
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