ラーメンはramenで間違っていない(定期更新:7)
タイトルを見ただけでは何のことか分からないかもしれないだろうが、音声学についての話である。
日本語のラ行はローマ字表記の場合、ra ri ru re ro という具合に子音rに5つの母音を加えて表される。
この日本語の子音rは舌を弾くように動かして発音されるのだが、英語の子音rの場合そうではない。
英語ではrは舌が空回りするように動かしたり、口に空間を作り舌の根本を上げるようにして発音するからだ。
この違いのために、多くの人がラ行のローマ字表記にrは相応しくなく、まだLの方がいいと思っていることだろう。
しかしラ行はrを用いるのが理に適っていて、ラーメンはramenで間違っていないのだ。
筆者が調べたところ、rで表される子音には日本人が直感的に聞き分けられる範囲では
①たたき音タイプ
②ふるえ音タイプ
③接近音タイプ
④うがい音タイプ
のように分類できる。
①は日本語のラ行、正式には「有声歯茎たたき音 /ɾ/」である。説明不要。
②はいわゆる巻き舌。正式には「歯茎ふるえ音/r/」で、世界の多くの言語(インド地域の諸語、ロシア語、スウェーデン語など)で使用されている。
したがって、子音rと言ったら巻き舌タイプが世界的にメジャーであるといえる。因みにインド訛り英語独特のrはこれが原因。
③は英語のr。正式には「有声歯茎接近音/ɹ/」(一部米国方言「そり舌接近音/ɻ/」)である。
2つ挙げた接近音は音にすると日本人には聞き分けが難しいはずなので同一タイプとした(私には音の違いが分からなかった)。
英語のメジャー感とは裏腹に、接近音を主なrとする言語は少ないらしい。
④はドイツ語のr。正式には「有声口蓋垂摩擦音/ʁ/」である。
筆者はドイツ語が全く分からない上、この音を発音できないので書くことは無い。うがいみたいな音してる。 (④は多分ほとんどの日本人がラ行との対比をしないと思うので今回は無視)
さて、①から③のrについて発音上の分類をするのならば、①と②は同類で③が仲間はずれだろう。なぜならたたき音とふるえ音は口腔内で弾くという動作が一致しているが、接近音はそうでないからだ。また、ふるえ音に関しては標準的な日本語ではないものの、江戸っ子みたいな荒々しい人々は自然に習得し発音しているので、この分類もかなり合理的だろう。
以上から、日本語の子音r(たたき音)は世界的な子音r(ふるえ音)と類似していることと英語の子音r(接近音)とは類似性が少ないことから、ラーメンのローマ字表記はramenが適切であるといえる。
筆者がスウェーデン語の発音練習をしているとき、日本語rとも英語rともつかない音が謎に思えて
ネットで調べたところ、rだけでなく発音についての色々な秘密を知ることができた。これだから音声学・言語修得はやめられない。
え、将来何の役に立つのかって?
何の役にも立ちませんよ。
Phylmer.M
出典・参考・引用
- https://ja.wikipedia.org/wiki/国際音声記号
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